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小荒井 一真; 松枝 誠; 青木 譲; 柳澤 華代*; 藤原 健壮; 寺島 元基; 木野 康志*; 岡 壽崇; 奥津 賢一*; 山下 琢磨*; et al.
no journal, ,
硬組織(歯や骨)は動物の生息環境中のSrの分布の指標とされている。硬組織は代謝の遅い生体組織であるため、組織内に生体のSr取り込みの履歴を残す可能性がある。硬組織内でのSrの分布を明らかにするためには、硬組織を分割し微細な試料の測定が求められる。本発表では、少量試料に有利なICP-MS法の妥当性を明らかにするために、放射能測定法との比較を行った。放射能測定法およびICP-MS法ともに0.10g中の硬組織中Srの定量に成功した。LODを比較すると、1.0g試料の放射能測定が最も低く、続いて0.10g試料のICP-MS測定、0.10gの放射能測定が最も大きいという結果であった。またICP-MS法の分析時間は8時間と、放射能測定法より短時間での分析である。硬組織の微細な破片を測定する場合、ICP-MS法は放射能測定法同様に、Sr分析法として適用可能であると考えられる。今後、定量値のばらつきや検出感度を改善することで、より実用的な生体のSr取り込み履歴の調査に応用できると考えられる。
瀬川 麻里子; 前田 亮; 藤 暢輔; 西中 一朗*; 渡辺 茂樹*; 石岡 典子*
no journal, ,
難治性のがんに高い治療効果が期待される放射性同位体Atの利用に注目が集まっており、Atを大量かつ安定的に生成する手法の開発が急務となっている。それにはAt試料を短時間で定量評価可能な2次元画像化技術が必要とされている。そこで、本研究ではAtの放射能と化学状態(化学形)を短時間で同時分析する技術の確立を目的とし、放射性同位体の化学分析の一つである薄膜クロマトグラフィを試料として用いた高感度線撮像システムを開発した。われわれはこれまで、主に基礎研究等に用いられる低線量のAtに対して本技術の定量性などを評価してきた。一方で、前臨床・臨床研究では主に数十kBq数百MBqの高線量Atが使用されているため、これらのAtに対する当該技術の適用性を検証する必要があった。そこで本報では、高線量のAtを使用し、開発した撮像システムの定量性を評価した結果を発表する。
島田 亜佐子; Kim, M. S.*; 塚原 剛彦*; 野村 雅夫*; 島田 太郎; 武田 聖司; 山口 徹治
no journal, ,
Calix[4]arene-bis(tertoctylbenzo-crown-6)(BOBCalixC6)の1-オクタノール溶液を用いて土壌溶解液からCsを分離・精製する手法を考案した。BOBCalixC6溶液を5回ほど繰り返し使用しても分離性能に大きな変化はなく、15mlの溶液を5回、2セット使用することで150mlの土壌溶解液を処理することができた。茨城県東海村で採取した土壌試料中のCs/Csを分析したところ、2011/3/11時点換算で0.380.25, 0.550.82, 0.3640.028, 0.380.38という値が得られた。Cs濃度が16900Bq/gの試料の分析では0.36340.0005という高い精度で同位体比が測定できたが、東海村で採取した1Bq/gを下回る試料の分析は標準偏差が大きくなった。
富田 純平; 富田 涼平; 鈴木 大輔; 安田 健一郎; 宮本 ユタカ
no journal, ,
日本原子力研究開発機構CLEARでは、マルチコレクター型ICP-MS(MC-ICP-MS)を整備し、存在度の低いU同位体(U, U, U)やPu同位体(Pu)を含む極微量U及びPuの精密な同位体比測定技術の整備に着手した。NBL CRM U015(U: 1ppb)及びUの存在度が無視できるほどに低いU0002(U: 10ppb)標準溶液を用いて、UやUのピークのテーリングや水素化物による影響評価試験を実施した。U0002溶液のピーク強度測定から、Uピーク強度の10分の1がテーリングとしてUピーク強度に影響することがわかった。また、測定精度を評価するために、U015標準溶液(U: 1ppb)を用いて、5回, 10回及び20回の繰返し測定を行った時の相対標準偏差をそれぞれ調べた。一元配置分散分析を行った結果、U/U, U/U及びU/U比の相対標準偏差の平均値に、繰返し測定回数の違いによる有意な差は見られなかった。
富田 涼平; 江坂 文孝; 蓬田 匠; 宮本 ユタカ
no journal, ,
大型二次イオン質量分析装置(LG-SIMS)はウラン粒子1個に対する精密な同位体比分析において空間分解能1m以下の高い能力を発揮する。しかし、ウラン粒子の同定を行う自動測定(APM)は精密分析と比較して広いビーム径のイオンビームで広い領域を走査する必要がある。そのため精密分析ほどの空間分解能を保てず、近接する複数の粒子を一つの粒子として検出することで誤った結果を含む問題(粒子のミキシング)があった。そこで既知の同位体比を持つ複数の標準ウラン粒子を混合した試料を作成し、APMによってどの程度のミキシングが発生するかを確かめた。また、ミキシングを低減する方法としてウラン粒子を走査型電子顕微鏡で拾い出すマニピュレーション法を用いた手法を検討した。同位体比が既知である4種の標準ウラン粒子(U010, U100, U350, U850)が混在する試料を作成した。この試料に対するAPMでは5976個の粒子が検出され、本来存在しない同位体組成を示す粒子が1943個含まれていた。U850粒子の同位体組成が参照値と一致しない問題も見られた。これはウラン水素化物生成比(UH/U)が平均0.237と高く、UHがU同位体として含まれることでウラン全体に対するUの存在率が見かけ上低くなったためであった。APMは粒子試料の全体像を把握する上で有効であるが、精確さに問題が生じるケースがある。そこで粒子マニピュレーションで試料から5080個のウラン粒子を分離した後にAPMを実施することで精確な分析結果を得ることを試みた。
浅井 雅人; 末川 慶英*; 東 聖人*; 鎌田 裕生*; 戸部 晃久*; Andreyev, A. N.; 廣瀬 健太郎; 伊藤 由太; 牧井 宏之; 西尾 勝久; et al.
no journal, ,
半減期約9分の新核異性体Npを発見した。Npは、原子力機構タンデム加速器を用いてLiビームをU標的に照射して合成し、オンライン同位体分離装置(ISOL)を用いて質量分離し、特性X線を測定することで同定した。線シングルス測定, -同時計数測定及び内部転換電子測定を実施した。Npはほとんどが多重極度E4の核異性体転移によって崩壊し、その後M1遷移することから、Npのスピン・パリティを5と決定した。講演では実験結果の詳細を紹介し、Npの核構造について議論する。
佐藤 志彦; 五十嵐 康人*; Martin, P.*; Alhaddad, O.*; Scott, T.*
no journal, ,
放射性微粒子は福島第一原子力発電所事故の実態解明において重要な役割を果たすことが期待される物質の1つであり、国内外の機関で盛んに研究が行われている。しかしながら放射性微粒子は1つの粒子を系統的に分析すればさまざまな情報を得られるが、多くの場合、それぞれ個別の粒子について離散的な分析がされることが多い。また喫緊の課題として、放射性微粒子を精力的に研究してきた研究者がまもなく定年退職を迎えようとしている。その後、これらの試料をどのように保管・管理していくか早急に検討を進めなければ、放射性物質故、将来的に湧き出し事象のようなトラブルにつながる恐れもある。そこで採取から分析までの履歴と分析結果を記録するデータライブラリーを開発した。
加藤 茜*; 金子 政志; 中島 覚*
no journal, ,
高レベル放射性廃液中のルテニウム錯体種の予測に向けて、ニトロシルルテニウム錯体と硝酸イオンとの錯生成反応を密度汎関数法に基づいてシミュレーションした。ニトロシルルテニウム硝酸錯体の12種の構造異性体の熱力学的安定性を比較した結果、Ru-NO軸に対して硝酸イオンが平面位に配位した構造が安定であることが分かった。また、ギブズエネルギー解析により逐次錯生成反応をシミュレーションした結果、錯体と置換する配位子との会合エネルギーを補正することによって、実験値における錯体種の硝酸イオン濃度依存性を再現することに成功した。
岡 壽崇; 光安 優典*; 高橋 温*; 小荒井 一真; 木野 康志*; 関根 勉*; 奥津 賢一*; 山下 琢磨*; 清水 良央*; 千葉 美麗*; et al.
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所事故で環境中に放出された放射性物質によって野生動物は長期的な低線量被ばくを受ける。野生動物の外部被ばく線量は、通常、捕獲した地点の線量率を元に計算で推定するが、生息域の履歴がわからないため推定した被ばく線量には不確定要素が大きい。そこで、環境からの放射線によって歯のエナメル質に誘起される炭酸ラジカルの強度から被ばく線量を推定することを試みている。ESR測定を妨害する元素を歯のエナメル質から除去する前処理法を検討し、捕獲した個体の被ばく線量の推定を行った。
加藤 瑞穂*; 安達 サディア*; 豊嶋 厚史*; 塚田 和明; 浅井 雅人; 羽場 宏光*; 横北 卓也*; 小森 有希子*; 重河 雄大*; 末木 啓介*
no journal, ,
これまで、超アクチノイド元素である105番元素Dbのフッ化物錯体に関し、HF系及びHF/HNO系における陰イオン交換樹脂への吸着挙動が調べられてきた。Dbの分配係数(Kd)は、同族元素であるNb, Ta及び擬同族元素のPaと比較してTaNbDbPaという順列であることが示されたが、その化学種までは分かっていない。最近、我々の研究グループではHF/HNO溶液系においてHF濃度の増加に伴うNbのKd値の急激な増加、化学種の変化を確認した。本研究では、Dbフッ化物錯体の化学種決定に向け、HF/1.0M HNO水溶液中でのNb, Ta及びDbのオンライン陰イオン交換実験を行ったので報告する。
北田 直也*; 岡 壽崇; 奥津 賢一*; 山下 琢磨*; 木野 康志*; 関根 勉*
no journal, ,
高分子材料は原子力発電所や加速器において、絶縁体やケーブル被覆材として広く使われており、長期間厳しい放射線にさらされ、酸化や切断によって劣化が起こる。これまではゲル分率測定や引張試験などの破壊試験で劣化の挙動が調べられてきたが、本研究では陽電子消滅寿命測定法を用いて、高分子材料の劣化を非破壊で評価できるかどうかを検討した。その結果、分子の隙間で消滅する陽電子の割合と、高分子鎖の架橋度の指標であるゲル分率の間に関係があることがわかった。
蓬田 匠; 大内 和希; 北辻 章浩; 高橋 嘉夫*
no journal, ,
福島第一原子力発電所の廃炉作業において、核燃料物質を含んだ微細な燃料デブリの環境中への放出が懸念されている。核燃料物質であるウランは、化学種により水への溶解性が大きく異なる。環境中でのウランの移行挙動を推定する上で、ウランの化学種を把握する必要がある。これまで、粒径数m程度のウラン粒子の化学種を、顕微ラマン分光法により分析した報告例があるが、非晶質の物質に対して化学種を判別できない課題があった。そこで本発表では、非晶質の物質に対しても化学種を分析できる、マイクロビームX線吸収分光法を用いてウラン粒子の分析を行い、数m程度の大きさのウラン微粒子の化学種の判別が可能かどうかを試験した。約500nm程度に集光したX線マイクロビームを用い、ウランの蛍光X線マッピング分析を行うことによって粒径3m程度の二酸化ウラン粒子を検出した。検出した粒子のX線吸収端近傍構造スペクトルを取得した結果、信号雑音比が良く、吸収端やピークトップの位置、吸収端後の微細構造もUO標準試料と一致したスペクトルが得られ、粒径3m程度のUO粒子の化学種を正しく判別することができた。
山口 瑛子; 栗原 雄一; 桧垣 正吾*; 奥村 雅彦; 高橋 嘉夫*
no journal, ,
放射性元素であるラジウムは、アルカリ土類金属であるため水に移行しやすく、また放射壊変により希ガスのラドンを生成し内部被ばくの危険性を高めるなど、危険かつ重要な元素であるが、安定同位体が存在しないために分光法などの適用が難しく、不明な点が多い。特に環境中挙動においては、粘土鉱物に分配しやすいことが示唆される報告例がいくつかあるが、子孫核種からの推定や室内実験に留まるなど、十分に研究されていない。本発表では、上記課題に対し、人形峠旧ウラン鉱山のコア試料を多面的に分析することで、ラジウムの粘土鉱物への吸着反応が環境中挙動を支配するという有用な知見を得たことを報告する。なお、問題解決にあたっては、バルク試料分析にとどまらず、鉱物分離や薄片を用いた局所分析などを行ったことが解決の糸口となった。得られた知見により、環境中ラジウムの動態解明やラジウム除去手法の開発に関する研究の発展に資する。
佐藤 哲也; Chiera, N. M.*; 富塚 知博; 床井 健運*; 鈴木 颯人*; 伊藤 由太; 浅井 雅人; 白井 香里*; 井上 浩樹*; 安達 サディア*; et al.
no journal, ,
原子番号が100を超える超重元素領域では、強い相対論効果の化学的性質への影響に興味がもたれている。我々は、105番元素ドブニウム(Db)の化学的性質を明らかにするため、5族元素オキシ塩化物を対象にオンライン等温ガスクロマトグラフ実験をおこなった。核反応で合成した短寿命核種と反応ガスN/SOCl(酸素濃度1%)との反応により生成した揮発性化合物は、揮発性に応じた効率で一定温度に保たれた分離カラムを通過し、等温ガスクロマトグラフ分離が行われる。その結果、分離カラム温度に対する収量変化として等温ガスクロマトグラフ挙動を観測することができる。実験は原子力機構タンデム加速器実験施設で行った。Dbの同族元素であるNbおよびTaの短寿命核種Nb(半減期=14.5分)およびTa(=6.76分)を用いて、それぞれの等温ガスクロマトグラフ挙動から、石英表面におけるNbおよびTaオキシ塩化物の吸着エンタルピー()を求めた。さらに同一の実験条件下で、Db(=33.8秒)の挙動をしらべ、Dbオキシ塩化物のを得た。NbおよびTaのと比較したところ、5族元素の揮発性が、Nb Ta Dbとなることを実験的に明らかにすることができた。
今野 裕太*; 前山 健司*; 三枝 純; 篠原 宏文*; 太田 博*; 磯貝 啓介*
no journal, ,
環境水の放射能測定においては、放射性ヨウ素及びセシウムが測定容器の壁面等に吸着することを防止するため、添加剤が用いられる。各種添加剤(塩化ナトリウム,硝酸,チオ硫酸ナトリウム)及び測定容器(塩化ビニル,ポリエチレン,ポリプロピレンを材質とする内袋)を対象として、吸着効果を実測と計算シミュレーションにより調べた。その結果、Cs-137については添加剤,測定容器の違いによらず、吸着は認められなかった。一方、I-131については、塩化ナトリウム,硝酸を用いると塩化ビニルに吸着が確認され、その割合はともに約50%と推定されたが、チオ硫酸ナトリウムを用いると吸着は認められなかった。結果を踏まえ、添加剤として、放射性ヨウ素に対してはチオ硫酸ナトリウムを、放射性セシウムに対しては汎用されている硝酸または塩酸を用いることとした。